PRプランナー 妹尾浩二の日記

日々の活動記録

大都会の高校球児はなぜ地方へ野球留学するのか

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企業の広報PRにおいて、本社所在地は東京のほうが有利だと信じている人がいます。

首都圏でニュース番組や新聞で紹介されれば、一気に何百万人に情報が届き、認知度を上げられると思うからでしょう。証券取引所や中央官庁の記者クラブや主要マスメディアの拠点はほとんど東京なので、上場企業・大企業の場合は東京に本社や広報機能があったほうが効率的であるに違いありません。

逆に地方では、企業の話題がローカルの放送局や地方紙で紹介されても、全国まで波及させることは難しい、そう考えている人は大勢います。

ところが実は反対に、中小企業は地方のほうが断然、全国紙に取り上げられやすい。つまり、地方で情報発信するほうが全国ブランドに近づく早道ともいえるのです。

大都市圏の高校球児が、地方に野球留学して甲子園を目指すことは普通に行われていますね。

東京や大阪の強豪校だと、部員が多く熾烈なポジション争いがあります。レギュラーになれたとしても都大会、府大会の参加校が多いので、予選を勝ち抜いて甲子園出場を果たすことは至難の業です。一方、山陰や東北、四国など人口の少ない地域では、参加校も比較的少なく、5試合勝てば甲子園に行ける県もあるほど。地方の強豪校でレギュラーになる方がより甲子園に近いのです。
甲子園に出場できれば大都市圏の代表も地方の代表も同じステージで戦えます。そこで活躍すればスカウトの目に留まりプロ野球選手になる夢がかなうかも知れません。だからこそ、親元を離れてわざわざ地方へ野球留学する球児が後を絶たないんですね。

中小企業のPRに話を戻します。
東京都内には約50万社、大阪府内には32万社の中小企業があります。当社がある香川など人口が百万人前後の県には、およそ3万から4万社。10倍を超える開きがあるのです。一方で、全国紙の都道府県面、地域経済面の記事スペースはほぼ同じ。夕刊の有無などの条件は違いますが、地方は記事スペースを獲得するための競争率が圧倒的に低いのです。

たとえば日本経済新聞。地域経済面は全国で20前後のブロックに分かれており、首都圏各県、大阪府は毎日1ページずつ。その他は人口規模や県の面積の広さによって1県から5県程度で毎日1ページを記事で埋めています。四国は4県合わせて1ページですが、そもそも企業の数が少ないので記者たちは日々の取材先に頭を悩ませています。タイムリーに良い情報が提供できれば、たとえ小さな会社でも取材される可能性は高いです。

日本経済新聞の地域経済面の記事は、同様の内容で日経MJ、日経産業新聞にも転載される可能性があります。ときには本紙全国版で扱われることも。さらに、全国紙の記事はWeb版にも掲載されるし、Yahoo! ニュースなどのサイトにも反映されます。紙面ではその地方でしか読まれなくても、ネットで検索されればいつでも、全国どこからでも読んでもらえるのです。ネット上では首都圏版も地方版もありません。

首都圏の中小企業は関東ローカルのテレビ番組に登場することさえ非常に難しいですが、地方ならハードルはぐっと下がります。

たとえば当社のあるエリアは、NHKのほかに、地上波の民放テレビが5局すべてそろっています(これは香川・岡山の電波が相互乗り入れしているためで、地方では異例の多さなのですが)。地元の放送局が多いということは、PRできる枠がそれだけたくさん用意されているということ。ローカル局に取材されて、面白いネタであればキー局の情報番組やニュース番組に流してもらえる場合があります。

NHKにも各地のローカルニュース枠があり、地方に行くほど経済関連の情報は不足しているので、取り上げられる可能性は高いし、タイミングによっては「おはよう日本」や「ゆうどきネットワーク」などで全国放送されることもあります。

香川県にある当社クライアント企業H社は、小さなこんにゃくメーカー。2011年夏に全国を揺るがす食中毒事件での牛肉ユッケなどの禁止に絡んで「生レバーそっくりのこんにゃく」を発売した際、ローカル局や地方紙で紹介されたことをきっかけに、東京など全国からメディアが押し寄せ、情報番組、報道番組内で数十回も取り上げられました。
その結果年間ヒット商品の上位にランクインしたほか、クイズ番組やNHK大みそかの特番のネタになったりして大ブレイク。全国ブランドへの足場を固めることができたのです。

東京や大阪の中小企業がPRしようとすれば、まずは載りやすい業界紙や専門紙、インターネットのニュースサイトから一歩ずつ、というのがセオリーですが、地方ではいきなり全国紙やNHKに登場することも可能です。
地方であろうと東京であろうと日経は日経、朝日は朝日、NHKはNHK。一流のメディアに取り上げられたという実績は信頼度アップにつながり、その後の事業に好影響を与えます。

地方に本社を置いて、全国的に事業を展開していく中小企業は、PRにおいて最も効率的にマスメディアを活用できる環境にいるといえるのです。
地方の高校のほうが甲子園への近道。同じように、PRもブランディングも東京より地方のほうが有利な面があることをご理解いただけたでしょうか?

企業広報・パブリシティ戦略のご相談は 【有限会社プリズム】へ
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Written by 妹尾浩二

10月 7th, 2018 at 11:12 pm