PRプランナー 妹尾浩二の日記

日々の活動記録

Archive for 9月, 2018

「おいしい」「安心安全」は危険な言葉

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香川県内の農業者の方々の会でPRについて講演した日のお話です。
自分たちの作った農作物をJAを介さずに直売したり、オリジナルの加工品を作って六次産業化を目指したりと、積極的に挑戦されている方々の集まりは、非常に活気にあふれていました。
その席で、何人かの方に質問をしてみました。

私「あなたの作られている作物のPRポイントはなんですか?」
すると、帰ってきた答えは

Aさん「うちの○○は、新鮮です」
Bさん「うちの△△は、とにかくおいしいです」
Cさん「安心安全にこだわって作っています」
Dさん「食べてもらえればわかります」

「新鮮」「おいしい」「安心安全」「食べればわかる」・・・残念ながら少しも、心に響いてきません。
考えてもみてください。今どき、日本国内産で、店頭で売られていて「新鮮でない」「おいしくない」「食べると危険」な野菜や果物ってありますか?あったらニュースになるほどですね。
ということは、日本中どこの畑で採れたものでも同じことが言えるわけで、「おいしい」「新鮮」「安心安全」などという抽象的な言葉は、当たり前すぎて何の差別化ポイントにもならないんです。
テレビの食レポートでは、できるだけコメントに「おいしい」を使わないことになっています。でも下手なレポーターは「おいしい」を連発してしまう。

「おいしい」は、それを使ったとたんにオリジナルな思考回路を停止させてしまう危ない言葉なのです。
「食べればわかる」ものは、食べてもらうまでわからないんです。見た目の美しさや五味(甘み、渋み、辛味、酸味、塩味)や色彩、歯ざわり、舌触り、のど越し、香り、風味、栄養価、作った人の技術や愛情、ストーリーなどについて、思考をフル回転させて言葉をひねり出していかなければ、食べ物としての付加価値は伝わらない。一度も食べてもらえないんです。
「おいしい」は自慢するものではなくて「必要条件」。「新鮮」「安心安全」は、胸を張って言うほどのことではなくて「最低条件」です。
もっと際立った特徴を具体的に表現しなくてはブランド化できません。

たとえば「新鮮さ」をアピールしたいなら、「朝4時から収穫して6時には店頭に並べ、午前中に売れなかったものは引上げます」と言えば、際立った新鮮さが想起できるはず。
「おいしさ」に自信があるなら「いちごより甘い、糖度15度」など、客観的においしさの指標を示したり、「○○コンテストで金賞を受賞」という実績なんかがあれば、それだけでおいしいと認められる。
「安心安全」なら、「親の代から40年間、農薬や化学肥料不使用の畑で作りました」と言って初めて、並ではない安心さ、安全さがイメージできる。
食べ物を扱う方々には「おいしい」「安心安全」「新鮮」を封印して、自分だけのオリジナルな付加価値を表現する言葉を考えていただきたいですね。

企業広報・パブリシティ戦略のご相談は 【有限会社プリズム】へ

TEL:087-863-7090

Written by 妹尾浩二

9月 25th, 2018 at 10:50 pm

広報はトップの仕事

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広報・PRは長期的視野に立った経営活動の一環。ですから、トップが先頭になって広報を実践していかなくてはなりません。

特に中小・ベンチャー企業では、社長が「我こそ当社の広報マン」を自認し実践すべきです。つまり、サービスや商品の原点を知る社長こそが前面に立って、自社がどういうビジョンを持ち、どんなことをしようとしているのかを、自ら社内外に情報発信することが大切なのです。

メディアは常に責任ある発言を求めてトップの登場を期待しています。自ら進んでビジョンや理念を語り、自社と商品・サービスのストーリーを一人でもおおくの人に知ってもらおうと努力する社長がいる会社は、「社会に対して開かれた会社」「顔の見える会社」という印象を与えるのです。

ユニクロといえば柳井正社長、日産自動車といえばカルロス・ゴーン社長、ソフトバンクといえば孫正義社長、ZOZOといえば前澤友作社長・・・・。大企業でもトップ広報が大きくモノを言うのですから、中小・ベンチャー企業の場合はなおさらです。

従業員が数十人しかいない中小企業で、社長が忙しいと言って、役員でもない担当者に広報を一任してしまっている会社は、その重要性をわかっていないと言わざるを得ません。

中小企業の社長は最高広報責任者。自ら率先して動き、自らメディアに働きかけ、自ら企業理念や商品のストーリーをメッセージとして積極的に語ることが必要なのです。

とはいえ中には、ものづくりや数字の管理は得意だけれど、人前で話すことや文章を書くことが苦手だったり、カメラで撮られるのが極端に嫌いな社長もいます。でも苦手、嫌いだからといってこれらを避けていると、社会に対して企業のメッセージがいつまでたっても伝わっていきません。

社長がスポークスマンとしてメディアに対してきちんとメッセージを伝えていくためには、日ごろから自分の考えを明確に話すトレーニングをすることがとても大切になります。

ポイントは、メディアの取材を想定して、聞かれそうな質問を用意しておき、それに対する考えをコンパクトにまとめて言えるようにすること。社長が自社を広報するために、あらかじめデザインされたキーメッセージを、どのような方法で、どのようなタイミングでアピールしたいかを考え、練習を積んでおくのです。

突出した技術や商品を持っていて、なおかつ社長が情報発信を積極的に行うことができれば、メディアがその企業を放っておきません。ことあるごとに取材要請が来るようになります。そうした実績をひとつずつ積み上げていくと、ことさら広告宣伝にお金を使わなくても社会からの認知度を上げ、会社のブランド力を向上させていくことができるのです。

「世界一小さな歯車」を作った樹研工業(愛知県)の松浦元男社長、「痛くない注射針」の岡野工業(東京都)の岡野雅行社長、「ユートピア経営」で有名な未来工業(岐阜県)の山田昭男社長、「中小企業経営者のカリスマ」といわれる武蔵野(東京都)の小山昇社長・・・・。全国的に話題になり知名度の高い中小企業は、ほぼ例外なく社長(あるいは創業者など)が強烈な個性を持ち、ユニークな経営理念と他社にまねのできない商品・サービスを提供しています。

そして抜群の広報センスで、自社の事業内容や経営理論についてマスコミ、WEB、書籍など様々なメディアを通じて積極的に語る。そうした活動が全国ネットの「カンブリア宮殿」や「ガイアの夜明け」などのテレビ番組で取り上げられるようになれば、ちょっとした大企業よりも上を行く知名度とブランド力が手に入ります。

社長自身の情報発信によって会社のブランド価値を上げ、顧客や取引先を増やし、利益を生み出すことができる。トップ広報が機能すれば余計な広告費・販促費は不要です。中小企業の経営においてこれほど効率的な取り組みはありません。

広報は「やったもの勝ち」。自分が表に立つことに及び腰の社長は、意識の変革がすぐに必要です。

企業広報・パブリシティ戦略のご相談は 【有限会社プリズム】へ
TEL:087-863-7090

Written by 妹尾浩二

9月 22nd, 2018 at 11:09 pm

クイック・レスポンス

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今日、私どものクライアント企業がテレビの取材を受けました。地場の主力産業と地域の伝統工芸がコラボした新商品の開発について、先日プレスリリースを配信した案件の取材です。

午前10時から、製品と製造現場の様子の撮影、さらに企画担当社員とコラボ先の工芸職人さんのインタビューまで1時間弱で取材を終えて、タクシーで片道約30分の局まで取って返し、大急ぎで編集して、お昼12時15分からのローカルニュースで放映するといいます。

放送されたニュースを見ると、2分程度にきっちりとまとめられ、映像もインタビューもわかりやすく編集してあり、いつもながら、さすがにプロの仕事だなあと感服しました。

テレビだけでなく新聞記者も、夕刊や朝刊の締め切りに最新の原稿を間に合わせるため、時間との勝負をしています。メディアの人々はこのように、一刻を争う世界で生きているのです。

広報担当者が記者対応で心がけるべきことはいくつもありますが、「クイック・レスポンス」もそのひとつ。彼らは正しい情報を視聴者・読者に伝えていくために、限られた時間の中で質問や念押しを矢継ぎ早にしてきます。記者からの問い合わせに広報担当者が「社長が出張中でお答えできません」「担当者の携帯につながりません」などとぐずぐずしていると、報道されるチャンスをみすみす逃してしまい、その機会損失ははかり知れません。

記者の向こうに何十万、何百万人というお客様がいることを肝に銘じておけば、問い合わせやリクエストに即座に対応しないわけにはいかなくなるでしょう。広報はスピードが命、質問へのクイック・レスポンスを心がけましょう。

Written by 妹尾浩二

9月 18th, 2018 at 2:59 pm

”紐づける”力

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「紐づける」という言葉を最近よく聞くようになりました。特にIT関連業界で、特定のデータと他のデータを相互に関連付ける、という意味でよく用いられています。

企業のPRでは、自社の取り組みと社会の話題を「紐づける」意識が、ニュースづくりに大いに役立ちます。

たとえば、10月17日の朝日新聞のコラムにこんな記事が掲載されていました。

阪神百貨店で海産物や鮮魚を特売する『かいさん そうせんぎょセール』が始まり、生鮮バイヤーが扮した「おさかな党党首」が、「公約は3本の骨。鮮度、おいしさ、お買い得です」という「鮮魚演説」を行ったというものです。

「解散」「選挙」と「海産」「鮮魚」の語呂合わせがぴったりはまって見事なパロディとなっていますね。今回で5度目の催しということですが、大きな選挙があるたびにプレスリリースすることによってメディアに取り上げられ、お客さんにもお馴染みになっているようです。

こんなダジャレは誰でも考え付きそうなことですが、どこよりも先に手を上げた者がニュースに登場し、あとから気が付いても二番煎じとなってその効果はぐっと落ちてしまいます。自社の取り組みや新しい情報と社会の動き・話題を「紐づける」意識があるかないかで、その瞬発力に差が出てきます。

広報担当者には、社内と社会の情報をパズルのように組み合わせ、関連付けてニュースを作る「紐づけセンス」が必要なんですね。

http://www.asahi.com/articles/photo/AS20171016003249.html

 

Written by 妹尾浩二

9月 5th, 2018 at 3:45 pm