PRプランナー 妹尾浩二の日記

日々の活動記録

Archive for 12月, 2011

河北新報のいちばん長い日

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先月発刊された「河北新報のいちばん長い日」という本を読みました。

河北新報は、宮城県仙台市に本社を置く東北のブロック紙です。地震によって
製作機能が麻痺し、また、多くの支局や販売店が津波に流されるという危機に
陥りました。

そんな状況の中で、自分たちも被災者になった記者たちが地震当日からどう
やって取材をして新聞をつくり、被災地の人たちに情報を届け続けたのかを
記録したノンフィクションです。

<「白々と悪夢の夜は明けた・・・」津波に遭遇し、一緒に非難した女性が目の
前で溺死するのを目撃した記者は、震える手で原稿を書き始めた。>

<「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」ヘリから被災地を空撮したカメラマンは、
眼下で助けを求める被災者へ必死に詫びながらシャッターを押した。>

<福島県災害対策本部に張り付いていた午後、総局長からメール。「メルト
ダウン。とにかく逃げろ」という趣旨だった。怖い。自分の身を守ることを優先
したい。だが、実際そうしたら後悔した。なぜ福島を離れたんだろうと深く悔や
んでいる。記者失格だ。明日は現場を見て福島に帰ろう>

<行く先々で「今回ほど新聞のありがたさを感じたことはない」「震災翌日の
新聞を読んで涙が止まらなかった」という感謝の言葉を何度も聞いた。新聞
ジャーナリズムの底力、高い信頼性を肌で再認識した>

メインの書き手は当時の編集委員の方。事実を淡々と伝えることが本職の
新聞記者が書いた文章ですから、ドラマ仕立てでもなく、情感をあおる表現や
比喩も最小限で、読み手の感動を誘おうとするものでもありません。しかし、
そのモノクロ的な文章の中にまざまざと被災地の光景や人の顔が浮かんで
きて、心を打ち、何度も涙がこみ上げてきました。

震災で停電し、通信状況が悪化した環境下では、新聞による文字情報が救援
物資と同等の重みを持つ。このことは阪神大震災のあとで出された「神戸新聞
の100日」にも書かれています。

新聞自体が斜陽産業といわれ、マスコミの存在を悪く言う人が多い昨今ですが、
正確な情報を、タイムリーに必要な人に届けるという使命を持った彼らの存在
がなかったら、我々は何を信じて何を判断基準にすれば良いのかわからなく
なります。

いくらインターネットが普及して、一般人が情報を流せるようになっても、何か
事が起きたときに現場で取材するのは一線の記者たちであり、いち早く伝え
られるのは、それを専門としているマスコミしかありません。

特に、地域に密着して地域の情報を細かく取材して報道する地方紙は、こうい
うときこそ地元住民に寄り添って住民が必要とする記事を届けることができる、
非常に大切な存在なんですね。全国各地の地方紙の方々も、この本を読んで
使命感を新たにしたのではないでしょうか。

河北新報は、私が前の会社の東京本社で広報課長の頃、東北支社の立ち
上げの際に何度も仙台の本社を訪問して、記事を書いていただきました。
記者さんたちは一様に優しく、営業の方々は東北人らしくガツガツしていなくて
朴訥でした。あの人たちがこの震災のときにどんな事態に陥って、何を見聞き
して、どう感じ、どのように動いたのか。懐かしい人の顔を思い浮かべながら、
読み進めていきました。

河北新報の人たちへ、今さらながら応援のメッセージを届けたいと思います。
「私たちは、あなたたちを必要としています。どうか頑張って、これからも新聞を
つくり届け続けてください」

「河北新報のいちばん長い日」文芸春秋
読売新聞の書評です。
http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20111205-OYT8T00390.htm

Written by COZYSENOO

12月 25th, 2011 at 2:03 pm

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国民の関心事

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12月24日、内閣府から「国民生活に関する世論調査」の結果が発表されました。

東日本大震災を受けて新設された質問「震災後、強く意識するようになったことは」との回答(複数回答)では、「節電に努める」が59.0%で最多でした。続いて「災害に備える」が44.9%、「家族や親族とのつながりを大切にする」が入っています。

国民世論というのは、単純にいえば日本人が今、何に関心を持っているのかというバロメーターです。この結果を物語るが今年の漢字「絆」であり、節電商品や家族団らんグッズなどのヒットでしょう。国民世論調査の結果、つまり国民の声を受けた商品・サービスはニーズが高い、それだけ売れる下地があるといえます。

さらに、国民の意識が集まる事柄には、必然的にマスメディアも関心を寄せます。メディアは時に情報を先取りしてトレンドを作る役割も果たしますが、多くは時流や旬の話題を後追いして、結果的に世論を拡大させる機能があります。

国民世論調査の結果が出たり、マスコミで話題になったときには、すでに旬を過ぎて鮮度が落ちているという人もあります。そうかといって、ブームや旬といったものは瞬間的に過ぎていくものではなく、たいていは数ヶ月、一年という期間、社会的関心が継続するもの。ですので、その時々に社会が求めているものをタイムリーに提供していくことは、社会貢献の側面もありますし公共性も認められるのです。

トレンドや旬の話題に関連する情報はニュースになりやすい。つまり、企業のPRに際しては、自社の商品やサービスを旬の話題に絡めて打ち出すことで、テレビ、新聞などのメディアが取り上げやすくなるのです。

たとえば、私の友人で保険代理業を営むI氏は、今の防災意識の高まりを受けて災害や事故、急病などの緊急事態に対応するための情報を集約して、ケータイやスマホでいつでもどこでも参照できるという無料の情報サービスを1月1日から始めます。

サイトには交通事故・工場や現場での事故のときの対応手順、心肺蘇生法、AEDの使い方、熱中症対策、災害伝言ダイヤルなど緊急時に役立つ情報や、地震情報、津波情報、ゲリラ豪雨情報など専門機関が発表する情報とのリンク、休日当番医の案内など、緊急事態の危機管理情報を網羅しています。こうした情報を、誰もが常時持ち歩くケータイやスマホですぐに見られるように提供するサービスはこれまでになく、目の付け所も素晴らしいですし、これを広く無料で提供することは彼の会社にとってはCSR(企業の社会的責任)でもあるんですね。

防災に関するニュースは、これから来年3月11日にかけてさらに注目され報道されていくことが予想されます。I氏の取り組みは、一連の報道の中で新しいサービスとして報道される可能性が高いのではないかと思っています。

企業の情報がニュースになる条件は、新規制、独自性、公共性であるということを常々お伝えしていますが、その発想のヒントはやはり、テレビや新聞の中に存在します。ネット至上主義の考えが蔓延する中、社会の最大の関心を形成するのはマスメディアが発信する情報なのです。

Written by COZYSENOO

12月 25th, 2011 at 2:01 pm

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